北海道ツーリングお気をつけて

バイクに乗り始めて1年半。界隈のSNS等から「北海道ツーリング」というワードをよく目にするようになりました。You Tubeには数多くの関連動画がアップされ、トップページでレコメンドされます。

広大な草原にどこまでもまっすぐ続く道。延々と何十キロも走る海岸線。ワイルドな自然と美味しい食べ物が詰まった北海道ツーリング。でもね、

僕は1日、いや半日で十分だわ。たぶん「同じこと(景色)の繰り返し」「延々と続く◯◯」、これが性に合わないの。飽きちゃうのよ。

ダメなの。

バイクツーリング

私が好きなツーリング先は

1位:旧街道の宿場町

2位:海沿い

3位:都心部

4位:郊外(田舎道)

5位:山

多くのバイク好きは「1位:山」と答えるのではないでしょうか。私は好きではありません。走破後の満足感が低いからです。山道は景色の変化が少なく、その割に「上り/下り/急カーブ/凸凹/落下物」によるバイク車体とライダーへの負荷が大きい。たとえ「山頂からの絶景」というご褒美があったとしても、払った代償を超えるほどの満足感がないのです。車体を倒しながらカーブを曲がる操作感を楽しみたければ、私は海沿いのワインディングロードに向かいます。山道からは「山」が見え、海沿いから「海」が見えるのは当たりです。しかし海沿いには海以外にもいろんな景色が見られます。港、集落、洒落たレストラン、眺めの良い高台、工場夜景などなど。

こうして考えると「ツーリング=旅」であり「旅=エンターテイメント」とも言え、日常生活から離れた変化や驚き/感動の連続(少しずつたくさん)が満足感を高めるので、払う代償を超えるものを求めたがるのではないかと思います。かたや、精神年齢によって感動するポイント(ツボ)が異なるため、いい歳して「道志みちが好き」という人はどうぞこれからもご安全にという話です。

穴埋め

三寒四温が始まった15℃超えの月曜日、有休をとって三浦へ。ETC未装着ゆえ一般道で南下せねば。最短行程をGoogleマップで予習し、多摩地区から世田道柿生~青葉台~十日市場~瀬谷~戸塚原宿~大船~朝比奈~六浦16号線と、主に横浜環状4号を走った。戸塚原宿近辺は9時過ぎでも交通量多し。朝6時半に出発し、新百合の箱そば朝食を経て横須賀到達が10時半。は?

出発前に家で飲んだマグ半分のコーヒーと箱そばのつゆ/お冷が、エゲツない尿意となって僕を襲う。ヴェルニー公園で駆け込んだトイレはすでに3回目。この身体、いつまで持つのか?観音崎の高台を走る道からは房総半島が至近に見え、水平線が見える場所までバイクを進めさせる。久里浜のフェリー乗り場奥にある温泉施設でまたトイレ休憩。

まだ12時前だがもう帰り道のこと、帰ってからのことを考えている。19時の夕食に間に合うには、22時前の風呂は、明日の出勤の準備は、そんなことが頭の中を支配し、美しい景色も良さげな定食屋もみな一瞬で脳をスルーしていく。高いコストを掛けて始まったばかりの僕の新しい趣味が、こんな調子では。。。。

モヤモヤした脳裏に野比や三浦の海岸線の絶景をわずかに焼き付け、大根丘陵を通り、三崎漁港のうらりマルシェへ。ちょうど冷凍マグロの荷下ろし中。やはり妻と来たい。一人じゃ寂しい、だから現実的なことばかり考えてしまう。

行くと決めていた食堂へ。美味しいものを一人で食べることへの罪悪感、昔は全然なかった。幸福なはずの食事がなぜこんなに侘びしいんだろう虚しいんだろう?家族に何もできずに死んでいくことへの屈辱と羞恥と詫び。喉が苦しい。使い途のない身と心に、美食は何の栄養も与えない。

ああ、疲れた。妻に「最高に気持ちよかった」と嘘を言っている自分が情けない。